バーゼル条約改正 対応迫られる廃プラ輸出国 プラスチックなどのごみが散乱した、北西ハワイ諸島ミッドウェー環礁の海岸=2019年10月(AP) 近年、東南アジア諸国による廃プラスチックの不法投棄や不適切処理が、海洋汚染・大気汚染問題を深刻化させている。
これらの国は、米国や日本、欧州などから廃プラスチックを輸入し、再利用しているが、中にはリサイクルに不向きな汚れた廃プラスチックや異物が混入した「ミックスプラスチック」が入っていることがある。それらは再利用できないため、環境問題の原因となっている。
世界の廃プラスチックの大半を輸入していた中国は、これらの環境問題を深刻に受け止め、2017年末に輸入規制を導入した。その後、代替輸出先となったタイ、ベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国も、相次いで輸入規制を導入し、日本の廃プラスチック輸出量は減少していた。
こうした輸入規制が敷かれる中、輸出国側への規制も強化すべく、19年5月にバーゼル条約締約国会議において、リサイクルに適さない汚れた廃プラスチック輸出を同条約の規制対象とする改正案が採択された。改正された条約は21年1月1日施行予定で、リサイクルに不向きな廃プラスチックの輸出は、事実上困難となる。
一方、行き場を失った汚れた廃プラスチックの国内資源循環は急務であり、処理手段として、廃プラスチックを熱やガスなどで分子レベルまで分解する「ケミカルリサイクル」が注目されている。同手法は、汚れた低品質な廃プラスチックの受け入れが可能であるほか、原料採取から廃棄処分までを考慮した「ライフサイクルアセスメント(LCA)」において二酸化炭素(CO2)削減効果が高いという算定結果もあり、脱炭素社会、循環経済への移行に向けて期待が高まっている。(編集協力=日本政策投資銀行)